僕は基本的にレディファーストを心がけていますが、でも毎回半信半疑でやっています。
いつも実際にお会いしているみなさんにはそんなふうに見えないのかもしれませんが、
でも実はとても違和感を感じています。
僕はレディファーストを父親から習いました。アメリカ系のちょっといいレストランに
連れて行ってもらった時にレディーファーストというものがあることを知り、実践で
教えてもらってことを今でもしっかりと覚えています。
中学生ながら「女性を大切に!」という精神がとても美しいと思い始めていました。
しかし!!! みなさん。時代は変わるんですね。残念な感じもしますが、今や
レディファーストはむしろ失礼なマナーになってしまっているところもあるのです。
オーストラリアなどでは男女平等という観点からレディファーストは敬遠されているし、
気を遣われた女性がその男性を訴えるという裁判まで起こすということがあったのです。
女性を特別扱いすることが逆に女性を差別することに繋がるという解釈です。
そこがこの裁判の争点になりました。
by wili_hybrid"Armored knight"on Flickr's CC
結果は想像通りです。でもレディファーストの起源を知ると納得がいきます。
昔、中世のヨーロッパでは騎士が刺客に狙われていることが頻繁にありました。
食事に毒を盛られたり、突然不意打ちにあったりということがあったのです。
騎士にとって戦いで命を落とすことは名誉でしたが、狙われて不意打ちにあったりする
ということはとてもプライドが傷ついたのです。そこで出て来たのがレディファースト
でした。
不意打ちに遭う前に女性を先にゲートを通したり、毒で命を落とさないように先に食事
を勧めたりなど、騎士のプライドを保つために、女性が利用されていたというのです。
食器が銀色なのは、毒が銀と反応を起こし色を曇らせるためシルバーを使っていたとも
言われています。
それを女性に悟られないように「お先にどうぞ」という言葉をかけていたのです。
僕がレディファーストを躊躇する理由がわかりましたよね?みなさんも。
単純にレディファーストってカッコいい!でやっておけば良かったのですが、たまたま
読んだ本に書いてあって、熱心に読んでしまったのが、躊躇するきっかけを作って
しまいました。
でも、素敵な心遣いだということは気づいています。
レディーに限らず人を先にというのはとても謙虚でいい姿勢だと思います。
そのほうが日本人的かもしれません。
レディーファーストではなくて、「After you」(あなたからどうぞ)という姿勢は
日本人にはしっくりくるのだと思います。
旅先で見るレディファーストはそんなことまで考えさせてくれます。
特にヨーロッパでみるそれは本格的です。ぜひ本場のレディーファーストをご覧になって
ください。
頻度の少ないオーストラリアでそれが見られた時はまた違う意味で感動するかもしれない
ですね。